既存建物への増築について
- 2019.08.14
- 建築意匠

最近、既存建物がある敷地に増築してしたいという施主からの相談が多々ある。
既存施設は昭和40~60年あたりの建造であり、
ヒアリングする中では、確認済証・検査済証・申請図書の確認を行うが、
各書類が残っていることも少ない。
上記の済証は各行政(都道府県土事務所建築指導課・政令都市建築指導課)に確認することができる。
申請図書は、施主にて管理しなければならない。書庫に保管しているとはいえ、当時からの保管が近年まで管理されていることも少ないため、紛失している物件も多い。
増築するためには、下記を確認する必要がある。
①施設の三種の神器(確認済証・検査済証・申請図書)を確認する必要がある。
※上記がなければ、超えるハードルが非常にハードルが高くなる
調査・復元図面作成・構造計算再確認…etc
②敷地内に違法な増築がないことを確認する現地調査が必要となる。
※施主が既存建物をパワーアップ(違法に増築)させている可能性もある
③既存建物を現行基準に合致するか既存不適格調査が必要となる。
※1981年(昭和56年)以前の建物となると新耐震基準に適合させるのは非常に難しいため、耐震診断→耐震補強が必要となる。
④既存建物を再利用する場合、異なる用途の施設利用する場合は、用途変更の確認申請手続きが必要になる。近年の法改正により、特殊建築物で100㎡を超える場合は確認申請が必要だが、類似用途相互間の場合は不要となる。また、 特殊建築物でなく、200㎡以下の建物の用途変更の場合は、不要となる。
⑤増築する建物が既存建物と可分な関係であり、それぞれ接道を確保できることが必要である。既存建物と使用用途が異なる場合、任意に敷地分割を行い、別敷地の建物として確認申請を行うことができる。(確認機関に確認が必要)
近年、空き家が増えている中、既存ストックを再利用することが増えてきている。しかし、上記のように、申請図書がない場合が多く、断念せざるをえない状況が続いてきた。
法改正により、徐々に風向きが変わってきており、小規模であれば対応可能となってきている。
以上、備忘録
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