結露対策

結露対策

食品工場や冷蔵倉庫を設計する際に注意が必要なのが結露対策。

私が食品関連工場を設計した際に、課題となった部分である。

湿り空気線図をよく理解した上で、空気の流れ(吸排気)に配慮しなければならない。

特に、食品工場では作業室の室温が15度前後で管理される中で、

給湯(蒸気)や水を利用すると、必ずと言っていいほど、結露問題が発生する。

湿った空気が滞留すると結露が発生し、湿度70%以上で数日経てば、

カビが発生する可能性が出てくる。

そのため、HACCP認証などでは湿度60%以下、50%以下といった管理が求められる。

設計段階では、室温・湿度の管理条件を施主に確認するが、

施主は、「室温は〇〇度で管理する」と指定されるが、

湿度については、明確な回答をされないことが多い。

食品工場等の衛生面に配慮する施設の場合は、外気を直で作業室に入れずに、

外気処理(フィルタにて異物除去+空調管理)した空気を導入することがほとんどである。

外気処理した空気でのメリット・デメリット

①フィルタにて異物除去することにより、クリーンな空気を衛生作業室に供給可能(プレフィルタ+高性能フィルタ)

②温度・湿度管理された空気を衛生作業室に供給可能

③エアハンドリングユニット等を用いるため、広い設備スペースが必要であり、コストUPとなる

④室の容積が大きな場合、給気ダクトが大きく、熱損失も大きい。

⑤冷却された空気を送るため、ダクト内や天井裏ダクト周囲で結露発生する可能性がある。

特に、②の温度・湿度管理では、機械設備設計内で考え方を整理しなければならない。

梅雨時期に湿度100%の外気を湿度60%までに落とすためにはどう設計すべきか。。。

湿り空気線図で見ていくとわかりやすい。

下記、備忘録とする。

a) 外気を圧縮し、設定温度よりも-20℃~-30℃まで温度を落とす(※室温15℃の場合、-5℃~-15℃まで圧縮し温度を落とす) 

 →梅雨時期 外気温30℃の飽和水蒸気量と圧縮した-5℃時の飽和水蒸気量は、30℃時の方が飽和水蒸気量が多く、-5℃へ温度を落とすことによって、差分の水蒸気量が機器内で水滴となり、除湿されることになる。(※住宅のエアコンについても同様である エアコンで多少除湿されるのはこういう原理である)

b)圧縮した空気を、再熱し空気を膨張させることによって温度に対する水蒸気量(相対湿度)を下げることによって、湿度を下げる

食品工場では、設定温度よりも-30℃~-50℃となるよう強圧縮し、水蒸気量をとり、除湿した空気を再熱し、空気を膨張させ、再度除湿した空気を送ることによって、設定する湿度で空気を供給することができる。

a,bでは供給する空気に関する対応だが、空気の流れについても配慮する必要がある。

c) 作業室に対する換気量について、吸気をすれば必ず排気をしなければならない。食品工場等の衛生面に配慮した施設の場合は、一番クリーンな室から汚染区域へ空気が流れるよう管理すること、クリーン室に陽圧をかけ、汚染区域から空気が逆流しないように管理することが必要となってくる。(クリーン室は1種換気・汚染区域は3種換気) 室から室への空気の流れは有圧扇や差圧ダンパーにて対応すると良いと考えられる。

d) 作業室内の生産設備による吸気・排気の管理が、基本設計で一番重要になってくる。各室の温度・湿度管理はある程度機械設備設計で対応可能な部分であるが、c)で述べた換気(空気の流れ)に生産設備の換気も配慮しなければならない。設計者が生産設備の吸排気を把握できていない状況となると、空気が想定通りに流れず、生産設備機器の吸気にひっぱられ空気が逆流する恐れもある。

e)空気が滞留する部分を作らない。生産設備により空気が滞留する部分が発生したりする。発生局所にサーキュレーターや熱線を用いて結露防止対策を行う必要がある。(熱線→温めて露点温度とならないようにする)

冷蔵倉庫についても外気の湿度が高い場合は、出入口部分で結露が発生することが考えられる。(温かい湿度100%の空気が急激に冷やされると露点温度に達し、結露が発生する)

次回、設計する際は気をつけよう!

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