杭の設計と納期/費用

杭基礎の選定について最近思うことがあった。
杭の種類は以下の種類がある。
① 場所打ちコンクリート杭
②既製杭(PHC,PC等)
③鋼管杭
④地盤改良杭
①の場所打ち杭は、鉄筋コンクリート造の高層マンションや鉄骨造の荷重が重い物流倉庫やプラント工場等で採用されることが多い。
②,③については、鉄筋コンクリート造の中低層マンションや鉄骨造の多層階の建物で採用されることが多い。
④については、鉄筋コンクリート造低層のマンション等や鉄骨造平建等の建物かつ、15m以浅でN値30以上の支持層を確認でき、地耐力を確保できる場合に採用されることが多い。
最近、自分は鉄骨造の建物の設計が多いため、②から④の場合がほとんどである。
杭の選定では、杭工事費の比較を行うことが多く、近年では④地盤改良杭が他よりも安価である。しかし、同杭が安価であっても、基礎ベースが大きくなる点もあり、一概に地盤改良杭が安価であるとも言えない点がある。
だからといって、基礎、地中梁まで含めた金額を考慮して金額比較をするのも構造設計者からすらば酷な話だ。
基礎、地中梁の断面まである程度は検討して、まとめなければならないからだ。
意匠的な目線で杭の金額のみを見ていたが、基礎、地中梁の配置も工事に影響を与えるから充分精査しなければならないとも思う。
また、最近は小規模解体工事の依頼の案件もあるが、杭の引抜きについて考えさせられる部分があった。それは、④地盤改良杭の引抜き費用は他の杭②③と比べてもコストが非常に高い。
③鋼管杭の場合は、基礎CONを解体後、鋼管を引抜き埋め戻せばよく、④よりも安価となる。
②既製杭の場合は、 基礎CONを解体後、杭周囲をセメントミルクで固めているが、④よりも安価に引抜くことが可能である。
①場所打ちコンクリート杭の場合は大口径であり、引抜きは困難と思われる。
(※④とは杭採用 用途・規模 を考慮すると比較にはならない )
④地盤改良杭は鉄筋や鋼管といった引抜く際の支持させる部材がないとの理由により、引抜くことが困難との話があった。
ただし、 鋼管杭はつばさ付き、既製杭は拡底杭の場合、解体引抜きは可能なのだろうかと思うが、次回杭業者に聞いてみようと思う。
借地に借り主の建物を建てる時には、設計者は30、40年後の借地返還の際の解体というライフサイクルコストのことまで考えた設計を行わなければならないのだと思った。
30、40年後、自分は引退寸前だと思うが、最後まで建てた建築物のお世話はしていかないといけないと思う。
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