露出柱脚について
- 2020.02.23
- 建築構造

近年、柱脚メーカーの技術マンと話す機会があったのでいろいろ聞いてみた。
既製柱脚といったら、「高価」といったところがまず出てくると思う。
実際、構造設計していた時も上司から
「既製柱脚は工場金額が高くなるから使うな」とよく言われていた。
意匠設計者からの要望があった場合のみ使うのが一般的だったような気がする。
在来柱脚と言ったら、柱脚部に生じる軸力・せん断・曲げを出して、
軸力と曲げの関係から中立軸をもとめていたっけな。
1)中立軸圧縮側ベースプレート・礎柱間コンクリートの圧縮側の検討
2)アンカーボルトの引張力の検討
3)ベースプレートに生じる曲げの検討(リブプレートの検討)
4)回転剛性の検討
5)主架構の剛性のバランスの確認(柱脚の剛性の調整)
6)保有時の礎柱コンクリートのひび割れ・破壊の検討
7)地中梁配筋とアンカーボルトの干渉有無の確認
といった検討をしなければならなかった。
しかし、
既製柱脚には構造設計でも施工でも金額を度外視すればメリットが大きい。
1)構造設計時にスイッチのみで柱脚の設計は終わる。
メリット↓
構造設計の設計期間短縮
保有時のDs値割増不要(保有耐力接合時)
保有時の礎柱の設計がセットであり、在来に比べ断面を小さくすることが可能→工事金額減
設計時にRC梁鉄筋との干渉確認をメーカーでしてもらえる。
施工図面時にRC梁鉄筋との干渉確認をメーカーでしてもらえる。
アンカーフレーム等をメーカーにセットしてもらえる(メーカーによる)
打設前にメーカーに立会を行なってもらえ、施工誤差軽減を図れる
BPLのアンカーボルト穴のクリアランスが在来は5mmまでに対し10〜20mmまで許容可能であり、施工誤差調整が可能である
保有耐力接合、柱脚ヒンジ型を併用できる
デメリット↓
在来柱脚に比べ高価(保有耐力接合→高 柱脚ヒンジ→割高)
アンカーボルト長さを調整できない
8本アンカー、12本アンカー時にRC梁鉄筋が通りづらい
保有耐力時はRC梁に応力が入ってきて断面、配筋に影響あり
施工精度や構造設計の容易化についてメリットが大きく、そこまで高額でない柱脚ヒンジ型であれば採用してもいいのかなと思う。
構造設計がスイッチで選ぶだけとなるため、設計者の能力低減もあるのかなと思う。
備忘録。
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